開講式

2021年7月8日(木)

開講式
特別対談 テーマ「ふくしまクラフトの未来」
登壇者 校長 コシノジュンコ
福島県クリエイティブディレクター 箭内道彦氏(ゲスト)
福島県知事 内堀雅雄
総合プロデューサー 川又俊明
箭内道彦氏の写真

箭内道彦 氏

福島県クリエイティブディレクター。東京藝術大学美術学部デザイン科教授。福島県郡山市出身。タワーレコード「NO MUSIC,NO LIFE.」、リクルート「ゼクシィ」、サントリー「ほろよい」など、既存の枠に捉われない数々の話題の広告キャンペーンを長く手掛ける。福島県クリエイティブディレクターとして、「ふくしまプライド。」「ふくしままっぷ」「来て」「MIRAI2061」「ふくしま知らなかった大使」「もっと知ってふくしま!」「ひとつ、ひとつ、実現する ふくしま」「福島県庁TOKIO課」など、数々の発信を監修。2011年大晦日のNHK紅白歌合戦に出場したロックバンド「猪苗代湖ズ」のギタリストでもある。

開講式

「2021年度 第5期ふくしまクリエイティブクラフトアカデミー」開講式およびオリエンテーションが行われました。
新型コロナウイルス感染症の影響で、人々のライフスタイルや価値観が変化して、時間の過ごし方やモノの価値も変化しました。
そのため「Withコロナ」に適応し、今後訪れる「アフターコロナ」社会にどのように向き合っていくか、
専門家の講義や商品開発を通して、これからの"ものづくり"について考えていきます。
商品開発に関しては、各コースのテーマを元に2コースに分かれて商品開発を行っていきます。

開講式で立っている生徒の写真

2021年度の受講者は19名。

Aコース『空間お家時間を楽しむプロダクト』8名、
Bコース『身につけるもの・纏うもの』11名。

開講式で決意表明をしている写真

開講にあたり、受講生代表としてあさか野窯 志賀喜宏様から「コシノジュンコ校長をはじめ、講師の皆様方から多くを学び、
福島県の伝統工芸・地場産業の未来を作る担い手となるよう、励んでまいります。」と、決意表明がございました。

開講式で話を静聴している生徒の写真

校長のコシノジュンコ氏より「日本には外国にはない、四季があります。日本人でいることに感謝し、日本の素晴らしい伝統を
福島から発信していってください。」と、激励のお言葉をいただきました。

開講式で福島県知事が激励のお言葉を送る写真

福島県知事からは「是非このアカデミーを通じて“世界のコシノジュンコ”校長先生の、人間力・デザインの力・情熱を
身近に感じてもらいたいと思います。また、アカデミーの中で、コミュニケーションデザイン、SNSマーケティング、テスト販売、
情報発信の力などの先進的な未来の学びを体験していただくことで、皆さんが元々持っている力がさらに高まり、切磋琢磨し、
大きく成長していくことを期待しています。」と、応援のメッセージをいただきました。

受講生の皆さんも、おふたりからの激励でより一層、商品開発へのモチベーションが高まったようでした。

特別対談

テーマ『ふくしまクラフトの未来』について

開講式にあたり、校長のコシノジュンコ氏と福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦氏、そして、福島県知事の内堀雅雄氏の豪華対談が行われました。 「ふくしまクラフトの未来」について、2017年から2019年まで福島県と協働で取り組んできた『FUKUSHIMA PRIDE byJUNKO KOSHINO』での商品開発やファッションショー等についての紹介や、2020年度ふくしまクリエイティブクラフトアカデミーで開発した商品のゲストによる講評、さらに「デザインの重要性」についてトークセッションしました。

トーク01
『FUKUSHIMA PRIDE by JUNKO KOSHINO』について

コシノ校長がこれまで福島県の事業者と一緒に開発した商品と、
実施してきたFUKUSHIMA PRIDE byJUNKO KOSHINOの取り組みについて紹介し、
福島県の伝統工芸品をコシノ校長の目線からの可能性を引き出していただきました。

校長のコシノジュンコ氏と福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦氏と福島県知事の内堀雅雄氏の対談の写真

一例としてあげられたのは、2018年度に編み組み細工職人とコラボレーションして制作した、山葡萄を使用した編み組細工のビスチェ。
日用品として使用されることが多い中、あえて“身に着けるもの”を再定義した作品で、
コシノ校長の目線から“やっちゃいけないことをやってみよう“を形にした作品と紹介がありました。
とても硬い素材で加工が大変だったが、職人さんの熟練の技術によって完成することができた作品とのこと。

山葡萄を使用した編み組細工のビスチェの写真

この時の作品は、ビスチェの他にも、シルクで制作したエアコートなどを「Amazon Fashion Week TOKYO」で発表し、
「コシノジュンコ×福島県の伝統工芸」として注目を浴びました。

山葡萄を使用した編み組細工のビスチェを着て歩いている写真

コシノ校長は、「まさか、編み組細工を着るとは。と思われるが、美しいものは、無理があっても着てみると美しく見える。
つまり、デザインは考え方。こうしなくてはいけない。という先入観の中で追及していくことも素晴らしいことですが、
今することは“可能性”を試すこと。こんなことしていいのだろうか?と、思うことも、試してみると面白いかもしれません。」と、
当時の制作を振り返っていました。

トーク02
『2020年度開発商品』について

昨年(2020年度)、「おうち時間を楽しむアイテム」をテーマに、当アカデミーの中で開発した商品について、
コシノ校長・箭内氏・内堀知事が特に気に入ったものをそれぞれピックアップして講評してくださいました。

コシノ校⻑とT.K.Shitsugei 会津塗乾漆造り蕎⻨猪⼝の写真

コシノ校長が選んだ作品
作品名:会津塗乾漆造り蕎麦猪口
製作者:T.K.Shitsugei

コシノ校長コメント:
「とにかく軽い、アンバランスなフォルムのデザインが素敵。ついデザインの方に目が行くが、実際に持つと、
軽さとナチュラルな持ち具合がとてもいい。もっとデザインがシンプルな方が良さが引き立つ。」

箭内クリエイティブディレクターと陶器と漆器のcombinationビアタンブラーの写真

箭内クリエイティブディレクターが選んだ作品
作品名:陶器と漆器のcombinationビアタンブラー
製作者:あさか野窯

箭内クリエイティブディレクターコメント:
「まさに陶器と木工の“出会い“だと思う。相反するものが出会ったとき、クリエイティブなものが光を放つ。
その時に技術があるから自信が持てる。そう思わせてくれる作品だと思います。」

内堀知事と出ヶ原和紙会津おうちランタンの写真

内堀知事が選んだ作品
作品名:出ヶ原和紙会津おうちランタン
製作者:出ヶ原和紙工房

内堀知事コメント:
「喜多方市の雄国竹細工と、西会津町の出ヶ原和紙の“出会い”。おうち時間に心を落ち着かせてくれる優しい光。
そしてこの和紙は張り替えてもらえるので環境にもやさしい。いつまでもずっと、大事に使えるのもまた素敵なポイントです。」

皆さん、ピックアップした商品の魅力について熱く語ってくださいました。
内堀知事は、テレビショッピングさながらのトークを展開しており、受講生の皆さんもとても盛り上がっておりました。

トーク03
『コミュニケーションデザイン』について

今後開発予定の商品においてポイントとなる、コミュニケーションデザインの重要性について、
伝える方法や考え方などストーリーを織り交ぜながら発信することの大切さを登壇者の皆さんからお話しいただきました。

校長のコシノジュンコ氏と福島県クリエイティブディレクターの箭内道彦氏と福島県知事の内堀雅雄氏の対談の写真

コシノ校長:
「メッセージ性はとても重要。そこに感動がないと印象に残らないと思います。
感動にオリジナル性や、新しい予感を加えることがメッセージになるので、意識しています。」

箭内氏:
「どうやって見つけてもらえるか、歌詞に『どこかに私を待っているひとがいる』というのがあるように、
皆さんの作品を待っている人が世界中にいます。
ただ商品を発信するだけではなくて、皆さんの作品を待っている人への想いを込めて、必ずその作品を待っている人がいるので、
『知る機会』、『知ってもらえる機会』を恥ずかしがらずに挑戦してください。」

内堀知事:
「福島県の方は、すごく優しく、控えめでPRするのが少し苦手な方が多いです。
でもそれは“出会い”のチャンスを逃してしまっていて、とてももったいないです。ものごとには限界のない可能性があると思います。
皆さんも今、自分が持っている伝統や技術を使って、どんな広がりがつくれるか。ぜひ、一歩踏み出してみてください。」

今回はたくさんの“出会い”のお話をお聞きすることができました。人と人との「出会い」、商品と商品との「出会い」など、
出会いをつくること、見逃さないこと、楽しむこと、またつくっていくことの大切さを教えていただきました。

またコシノ先生と箭内さんの出会いが、昔たまたま同じマンションに住んでいたという話などとても面白い内容で、
まさに“出会い”を感じる内容でした。
受講生の皆さんにとっても、これから始まるアカデミーの商品開発はもちろん、
今後の作品づくり、人生において活かせるような、とても貴重なお話でした。

カリキュラムの説明や、今後のスケジュール等の案内の写真

最後に総合プロデューサーの川又俊明氏より、受講者へ向けたカリキュラムの説明や、今後のスケジュール等の案内がありました。

当講座で開発した商品は、2022年3月よりECサイトで販売します。

受講生コメント
「終始キーワードとしてあった“出会い”という言葉と、そこから起こる可能性とデザインの話が印象に残りました。」
「情報発信は自分のためではなく、どこかで待っている相手(誰か)のために発信していきます。」